北海道港湾協会
北海道港湾協会は、昭和29年の設立以来、北海道の港湾関係事業の推進を図るために必要な要望活動などを積極的に行ってきたところでありますが、この間、皆様から頂きましたご支援、ご協力に対し、厚くお礼申し上げます。
四方を海に囲まれた北海道においては、国内の物流の92%、海外との物流のほとんどを海上輸送に依存しており、港湾は極めて重要な社会資本です。特に、この世界情勢が不安定な状況では、食料安全保障上、農産品や水産品の一大供給基地である北海道の食料供給力を向上させるための港湾整備が必要となっています。
また、北海道沿岸でも気候変動等による海面上昇や波高増大が観測されており、カーボンニュートラルの取り組みを強力に進める必要があります。北海道の港湾は、洋上風力発電等の再生可能エネルギー発電の拠点として、その推進に向けた港湾機能の強化が重要となっています。さらに、防波堤を利用したブルーカーボンによるCO2の貯留といった新たな取組も始まっています。
日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震等への対応も「待ったなし」の状況です。港湾や海岸における津波浸水対策とともに、災害発生後の緊急物資の受け入れを確保する耐震強化岸壁の整備や既存港湾施設の老朽化対策等、国土強靱化の取組が必要です。
この他にも、コロナ禍以降、回復傾向にあるクルーズ船の寄港をより一層増加させるためにも安心してクルーズを楽しめる環境づくりを進める必要があります。
このように、北海道の港湾整備は、令和6年度からスタートした第9期北海道総合開発計画の目標である食料安全保障、観光立国、ゼロカーボン北海道、生産空間の維持・発展と強靱な国土づくりにおいて極めて重要です。さらに、令和6年4月に総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラの運用・整備方針において、道内5港湾が特定利用港湾として公表されました。特定利用港湾はもちろんのこと、北海道内の全ての港湾整備が重要であると考えております。
また、北海道の港湾管理者の多くが市や町であるという北海道の特殊性に鑑み、北海道の港湾整備についての特例制度を存続・堅持するとともに、国と地方の役割が適切に分担された現状体制を維持していくことも重要と考えています。
従いまして、北海道港湾協会としても、今後とも、国や道と適切に連携を取りながら、北海道の港湾管理者が一丸となって、必要な予算の獲得に向け、なお一層の活動をおこなっていきたいと考えておりますので、関係各位のご指導・ご鞭撻をお願い申し上げます。
北海道港湾協会会長 蝦名 大也(釧路市長)